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絶滅寸前の対馬のチョウ 保護策を要望

 日本では長崎県対馬にだけ生息する珍しいチョウ「ツシマウラボシシジミ」が絶滅寸前の状態にあるとして、チョウ類の学会が環境省長崎県などに早急に保護策を取るよう要望書を提出しました。

「ツシマウラボシシジミ」は、羽を開いた大きさがおよそ2センチほどの小型のチョウで、環境省レッドリストで、絶滅危惧種に指定されているほか、対馬市の天然記念物にも指定されています。

もともとは対馬北部の広い範囲に生息していましたが、増えすぎたシカなどの哺乳類が、チョウの繁殖に必要な植物をほとんど食べてしまったため、個体数が急激に減っています。

このため、チョウやガの研究者が所属する「日本鱗翅(りんし)学会」などの団体は、13日、環境省長崎県対馬市に保護策を講じるよう求める要望書を提出しました。

要望書によりますと、「残されている生息地は僅か一か所」で、日本産のチョウで、初めて絶滅種となるおそれを指摘しています。

そのうえで、残された生息地の周りにシカの侵入を防ぐ柵を設置することや、チョウの人工繁殖を行う施設を設置するよう求めています。

日本鱗翅学会の自然保護委員長で、東京大学総合研究博物館の矢後勝也助教は「行政の支援がなければ絶滅を防ぐのは難しい状況になっている。専門家団体として最大限の協力をするので早急に対策を講じてほしい」と話しています。NHK News web.,2014年2月13日